会社を辞めると、健康保険と一緒に年金の手続きも必要になります。ところが、何をどこに出せばいいのかを教えてもらえないまま退職日を迎える方がほとんどです。退職後の年金は、大きく3つのパターンに分かれます。この記事では、まず自分がどれに当てはまるのかをはっきりさせます。

退職後の年金は3つのどれか。まずここを決めます
退職後の年金は、次の3つのどれかになります。①国民年金の第1号被保険者(自分で保険料を納める)、②配偶者の扶養に入る第3号被保険者(自分の保険料負担はなし)、③再就職して厚生年金を続ける。この3つです。
失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取りながら仕事を探す期間は、働いていない状態です。ですから原則は①になります。そして大事なのは、何もしなければ自動では切り替わらないという点です。期限は退職日の翌日から14日以内。届け出先はパターンごとに違います。
自分はどのパターン?退職後の年金は3つに分かれる
判定は難しくありません。退職した翌日から自分がどう動くかで決まります。
次の会社に切れ目なく入るなら③。配偶者が会社員や公務員で、その健康保険の扶養に入るなら②。それ以外は全部①です。
③の方も油断はできません。退職日の翌日に入社するなら厚生年金は途切れませんが、1か月でも間が空くなら、その期間は①として届け出が必要になります。
「失業保険をもらっているから年金は払わなくていい」と思っている方が少なくありませんが、そういう制度ではありません。失業保険と国民年金は別の話です。
| パターン | 当てはまる人 | 保険料 | 届け出先 |
|---|---|---|---|
| ①国民年金 第1号被保険者 | 次の仕事が未定、失業保険を受給中、自営業を始める | 自分で納める | 市区町村の国民年金窓口 |
| ②国民年金 第3号被保険者 | 会社員・公務員の配偶者の扶養に入る | 自分の負担はなし | 配偶者の勤務先 |
| ③厚生年金を継続 | 切れ目なく再就職する | 給与から天引き | 新しい勤務先 |

第1号被保険者にならないのはどんな人?
20歳以上60歳未満の方は、国民年金に入ることが法律で決まっています。裏を返すと、退職時に60歳以上の方は第1号被保険者にはなりません。この場合は届け出そのものが不要です(年金額を増やしたい方の任意加入は別の手続きになります)。
見落とされやすいのが、配偶者が自営業の場合です。配偶者が国民年金の第1号被保険者だと、扶養という仕組みがありません。第3号にはなれず、自分も第1号として保険料を納めます。
失業保険をもらうと扶養から外れる?
日本年金機構は、被扶養者の収入に雇用保険の失業等給付を含めるとしています。基本手当の日額が3,611円以下なら収入の条件を満たしますが、3,612円以上の支給が始まると扶養から外れる届け出が必要です。
待期期間や給付制限の間はいったん扶養に入り、支給が始まったら第1号に切り替える。この流れになる方もいます。判断は配偶者の勤務先と健康保険で行いますので、先に相談してください。
手続きに必要な書類は何?
市区町村の窓口では、次のものを求められます。
- 基礎年金番号通知書または年金手帳
- 退職日がわかる書類(雇用保険被保険者離職票-1、離職票-2、健康保険資格喪失証明書など)
- マイナンバーカードなどの本人確認書類
配偶者の扶養に入る場合は、自分で役所に行くのではありません。「国民年金第3号被保険者関係届」を配偶者の勤務先に提出します。健康保険の被扶養者の届け出と一緒に出すのが基本です。
手続きの流れは?5つのステップ
第1号被保険者になる方の手順です。
- 退職日を確認する。厚生年金の資格を失うのは退職日の翌日です
- 3つのパターンのどれかを決める
- 住んでいる市区町村の国民年金の窓口へ行く
- その場で第1号への切替えを届け出る
- 後日届く納付書で保険料を納める
離職票が手元に届くのは退職から10日前後になることが多く、待っていると期限を過ぎます。健康保険資格喪失証明書など、退職日がわかる別の書類でも受け付けてもらえる場合があります。先に窓口へ電話で聞いてください。
期限はいつまで?過ぎたらどうなる?
第1号への切替えは退職日の翌日から14日以内、第3号への切替えは扶養されることになった日から14日以内です。
過ぎてしまっても手続きはできます。ただし、届け出をしていない期間は未納として扱われます。未納のままだと将来の老齢基礎年金が減り、障害年金や遺族年金が受けられなくなることもあります。保険料は納付期限から2年を過ぎると納められません。ここは取り返しがつかない部分です。
保険料が払えないときはどうする?失業の特例
国民年金の保険料は令和7年度で月額17,510円。収入がない時期にはこたえる金額です。
そこで日本年金機構には免除・納付猶予の制度があります。退職して仕事を探している方は、雇用保険被保険者離職票または雇用保険受給資格者証のコピーを添えて申請すると、本人の前年所得を0として審査してもらえます。失業による特例です。
免除が承認された期間は、未納と違って受給資格期間に算入されます。ただし、配偶者や世帯主の所得は審査されるため、世帯の状況によっては承認されません。まずは市区町村の窓口で相談してください。

よくある間違いはこの3つ
窓口でよくつまずくのが、この3つです。
- 資格喪失日を退職日そのものだと思っている — 正しくは退職日の翌日です
- ねんきん定期便が届くから大丈夫だと思っている — 届いても切替えは行われていません
- 第3号の届け出を自分で役所に出そうとする — 配偶者の勤務先経由です
もうひとつ。退職から再就職まで1日でも空くと、その月の扱いが変わることがあります。空白ができそうなときは、短い期間でも窓口に伝えておいてください。
あわせて確認したい手続き
- 次回は、市区町村の窓口で国民年金第1号への切替えをする手順と当日の持ち物を詳しく解説します
- 退職後の健康保険はどれ?3つの選択肢を比較(任意継続・国民健康保険・扶養)
- 退職時にもらう書類5つ|離職票や資格喪失証明書はいつ届く?
参考にした公式ページ
- 会社を退職したときの国民年金の手続き|日本年金機構
- 国民年金に加入するための手続き|日本年金機構
- 会社を退職し、被扶養配偶者になる場合の届出(第3号被保険者関係届)|日本年金機構
- 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構
- 従業員が家族を被扶養者にするときの手続き(収入要件)|日本年金機構
- 被扶養者の認定における特例について|全国健康保険協会
※本記事は2026年9月時点の情報です。制度は改正されることがあります。最新の内容は必ず公式サイト(厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構)またはお住まいの市区町村でご確認ください。




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