自己都合退職と会社都合退職では、失業保険をもらい始める時期も日数も変わります。判定はどこで決まるのか、離職票の記載に納得できないときどうするかを解説します。(78文字)
離職票が届いて、離職理由の欄を見た。「自己都合」と書いてある。でも自分では、辞めざるを得ない事情があったと思っている。
自己都合と会社都合では、失業保険をもらい始める時期も、もらえる日数も変わります。健康保険料にも差が出ます。この記事では、どこがどう違うのか、そして判定に納得できないときに何ができるのかを整理しました。
変わるのは3つです
自己都合と会社都合で変わるのは、次の3点です。
- もらい始める時期 — 会社都合は待期7日の後すぐ。自己都合は給付制限期間が加わる
- もらえる日数 — 会社都合のほうが長い。年齢と被保険者期間によっては倍以上の差になる
- 国民健康保険料の軽減 — 会社都合にあたる方は軽減制度の対象になる
ここで押さえておいてほしいのは、この判定をするのはハローワークだということです。会社が離職票に書いた理由が、そのまま最終決定になるわけではありません。

そもそも「会社都合」とは誰のこと?
行政の言い方では、会社都合にあたる方を**特定受給資格者(とくていじゅきゅうしかくしゃ)**と呼びます。倒産や解雇など、自分の意思とは関係なく職を失った方のことです。
特定受給資格者にあたる主な例
- 会社の倒産、事業所の廃止
- 解雇(自分の責任による重大な理由での解雇を除く)
- 賃金が支払われない、または大幅に引き下げられた
- 過大な時間外労働が続いた
- 上司や同僚から著しい嫌がらせを受けた
- 事業所が遠方へ移転し、通勤が困難になった
自己都合でも会社都合に近い扱いになる場合があります
もうひとつ、**特定理由離職者(とくていりゆうりしょくしゃ)**という区分があります。自分から辞めたけれど、やむを得ない事情があった方です。
- 契約社員で、契約更新を希望したのに更新されなかった
- 病気やけが、心身の障害で働き続けられなくなった
- 父母の介護など、家庭の事情が急変した
- 配偶者の転勤で、別居生活が難しくなった
この区分にあたると、給付制限がつきません。国民健康保険料の軽減も対象になります。
ただし、転職したいから辞めた、給料に不満があって辞めた、という場合は対象になりません。 ここは自己都合として扱われます。
いつからもらえる?待期と給付制限
どちらの理由でも、ハローワークで手続きをした日(受給資格決定日=ハローワークで手続きをした最初の日のことです)から7日間は、待期期間として支給されません。これは全員に共通します。
違いはその後です。
会社都合の方は、待期が明ければ支給の対象になります。自己都合の方は、待期に加えて給付制限期間があります。2025年4月1日以降に離職した方は、この期間が原則1か月です。
なお、5年間に3回以上、正当な理由なく自己都合で退職している場合は、給付制限が3か月になります。
もらえる日数はどれだけ変わる?
所定給付日数といいます。自己都合か会社都合かで、表そのものが変わります。
自己都合(一般の離職者)の場合
| 被保険者だった期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
年齢は関係ありません。
会社都合(特定受給資格者)の場合
| 年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
同じ勤続20年でも、自己都合なら150日、45歳以上60歳未満で会社都合なら330日。ここが一番大きな差です。

受給の条件そのものも違います
失業保険をもらうには、被保険者期間の要件を満たす必要があります。ここにも差があります。
- 自己都合 — 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算12か月以上
- 会社都合・特定理由離職者 — 離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算6か月以上
勤めた期間が短いうちに退職した場合、自己都合では要件を満たせないのに、会社都合なら受給できる、ということが起こります。
国民健康保険料も変わります
会社都合と特定理由離職者にあたる方には、国民健康保険料の軽減制度があります。前年の給与所得を、実際の30%とみなして保険料を計算する仕組みです。
対象は、離職日時点で65歳未満の方です。自己都合退職は原則としてこの軽減の対象になりません。
手続きは市区町村の窓口で行います。離職票または雇用保険受給資格者証を持っていってください。離職理由コードで判定されます。

離職票の理由に納得できないときは
会社が「自己都合」と書いていても、それで確定ではありません。判定するのはハローワークです。
離職票-2には、退職理由を記入する欄と、本人が記入する欄の両方があります。会社の記載に異議があるなら、本人記入欄にその旨を書き、窓口で申し出てください。窓口では必ず「会社が書いた理由に間違いはありませんか」と確認されます。ここで黙ってしまうと、そのまま進みます。
そのとき、事実を示せるものがあると話が早く進みます。
- 給与明細(賃金の引き下げや未払いを示すもの)
- タイムカードの写しや勤務記録(長時間労働を示すもの)
- 退職を勧められたときのメールや書面
- 会社とのやりとりの記録
書類がそろわなくても、まず相談することはできます。ハローワークが会社に事実確認を行う場合があります。
よくある間違い
「退職届を出したから自己都合だ」と思い込む 退職勧奨を受けて自分で退職届を出したケースでも、経緯によっては会社都合と判断されることがあります。退職届の有無だけで決まるわけではありません。
給付制限があるからと、申請を後回しにする 給付制限期間は、ハローワークで手続きをしてから数え始めます。待っている間は1日も進みません。離職票が届いたらすぐ行くのが正解です。
軽減制度を申し出ない 国民健康保険料の軽減は、自動では適用されません。市区町村の窓口で申請が必要です。
あわせて確認したい手続き
- 失業保険の金額の決まり方(賃金日額と基本手当日額)
- 給付制限中にアルバイトをする場合の申告
- 再就職が早く決まった場合の再就職手当
※本記事は2026年9月時点の情報です。制度は改正されることがあります。最新の内容は必ず公式サイト(厚生労働省・ハローワーク)またはお住まいの市区町村でご確認ください。




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