退職してから、国民健康保険料の納付書や年金の納付書が次々と届いていませんか。収入がない時期の支払いは、本当に重く感じます。そのお金は、確定申告で取り戻せる可能性があります。この記事では、どの保険料が控除になるのか、何を保管しておけばいいのか、いつまでに出せばいいのかを順番に整理します。

退職後に自分で払った保険料は、全額が控除の対象です
退職後に自分で納めた国民健康保険料(国民健康保険税)・国民年金保険料・健康保険の任意継続の保険料は、その年に実際に払った金額の全額が社会保険料控除になります。国税庁の社会保険料控除の説明でも、控除できる金額は「その年に実際に支払った金額の全額」とされています。
ただし、ここが落とし穴です。これらは会社の源泉徴収票には一切載りません。自分で確定申告に書かないと、控除は受けられないままになります。生命保険料控除や医療費控除も同じで、退職した年は自分で申告する必要があります。
多くの人がつまずくのは「源泉徴収票に載っていない支払い」
退職した年の確定申告で一番多い取りこぼしが、退職後に自分で払った保険料です。
在職中は、健康保険料も厚生年金保険料も給与から天引きされ、その金額が源泉徴収票の「社会保険料等の金額」に印刷されます。ところが退職した翌日からの保険料は、市区町村や日本年金機構に自分で納めます。会社は把握していないので、源泉徴収票には出てきません。
申告書の社会保険料控除の欄を、源泉徴収票の数字だけ写して終わりにしてしまう。ここで多くの方がつまずきます。納付書やコンビニの領収証書を捨ててしまった、という相談も窓口では珍しくありません。
もうひとつ多いのが、家族の分です。生計を同じくする配偶者や子の国民年金保険料を自分の口座から払った場合、その分も払った人の控除に入れられます。妻の分だから関係ない、と外してしまうのはもったいない扱いです。

申告までの手順と、そろえる書類はこれだけ
やることは多くありません。順番に進めてください。
- 退職した会社から給与所得の源泉徴収票を受け取る
- 退職後に払った保険料の金額を、納付書・領収証書・通帳の記録から拾い出す
- 日本年金機構から届く社会保険料(国民年金保険料)控除証明書を用意する
- 生命保険料控除証明書、医療費の領収書をまとめる
- 国税庁の確定申告書等作成コーナーなどで申告書を作り、税務署に提出する
国民年金保険料の控除証明書は、日本年金機構から郵送されます。マイナポータルで電子データとして受け取ることもでき、そのデータはそのまま電子申告に使えます。
国民健康保険料には、年金のような証明書が全員に届くとは限りません。市区町村によって「納付済額のお知らせ」が送られる場合と、自分で領収証書を集計する場合があります。お住まいの市区町村の国民健康保険担当に確認してください。
| 書類の名前 | どこから | 入手のしかた |
|---|---|---|
| 給与所得の源泉徴収票 | 退職した会社 | 退職後に交付される |
| 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書 | 日本年金機構 | 郵送、またはマイナポータルで電子データ |
| 国民健康保険料の納付額がわかるもの | 市区町村 | 納付済額のお知らせ、または領収証書 |
| 任意継続の保険料の領収書・口座振替の記録 | 協会けんぽ・健康保険組合 | 振替口座の通帳でも可 |
| 生命保険料控除証明書 | 契約している保険会社 | 保険会社から郵送される |
| 医療費の領収書・医療費通知 | 病院、加入していた健康保険 | 医療費控除の明細書にまとめる |
こんなときはどうする?ケース別の扱い
退職後の支払い方は人それぞれです。よくある4つを分けて見ていきます。
家族の国民年金保険料を代わりに払った
生計を一にする配偶者や親族が負担すべき社会保険料を自分が払った場合、その金額も自分の社会保険料控除に入れられます。国税庁もこの扱いを示しています。控除証明書は家族本人あてに届くので、なくさずに預かっておいてください。
国民年金の免除・納付猶予を受けた
免除や猶予で実際に納めていない期間は、払った金額がないので控除にはなりません。ここは間違えやすいところです。一方で、過去の免除期間分を追納して実際に納めた年は、その納めた年の控除になります。
健康保険の任意継続を選んだ
任意継続の保険料は本人が全額を負担します。自分で納めた保険料ですから、社会保険料控除の対象です。口座振替にしている方は、通帳の記録で年間の合計を確認してください。
国民年金保険料を前納した
13か月以上の前納をした場合、日本年金機構から各年に分割した控除証明書が届きます。申告する年の分だけを使い、残りは翌年以降に使うので保管しておきます。全額を払った年にまとめて控除する方法もあり、どちらか一つを選ぶ形です。
控除になるもの、ならないものの線引き
対象になるのは、その年の1月1日から12月31日の間に実際に払った保険料です。年をまたぐと、その年の控除にはなりません。
対象にならないものも押さえておいてください。
- 免除・猶予で納付していない国民年金保険料
- 会社が負担した分の保険料(本人負担分だけが対象です)
- 求職活動の交通費、スーツ代、再就職のための講座の受講料
- 失業手当そのもの(所得として申告する収入ではない扱いです)
医療費控除は、その年の医療費の合計から、10万円(総所得金額等が200万円未満の方は総所得金額等の5パーセント)を差し引いた残りが対象で、上限は200万円です。高額療養費や生命保険の入院給付金など、保険金で補てんされた金額は先に差し引きます。生命保険料控除は、合計しても12万円が上限です。
いつまでに出す?過ぎてしまったときは
確定申告の期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までです。納める税金がある方は、この期限を守ってください。
一方、退職した年は給与から所得税が天引きされたまま年末調整を受けていない方が多く、申告すると税金が戻るケースが目立ちます。この還付を受けるための申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。3月15日を過ぎたから終わり、ではありません。
ただし、還付されるのは源泉徴収などで納めすぎた所得税がある場合です。源泉徴収税額が0円なら、控除を積み上げても戻るお金はありません。ここは期待しすぎないでください。

わからないときの相談先
迷ったら、内容ごとに窓口が分かれています。
- 申告書の書き方、控除の対象になるか … 住所地を管轄する税務署(国税庁)
- 国民年金保険料の納付額、控除証明書の再発行 … 日本年金機構・年金事務所
- 国民健康保険料の納付額の確認 … お住まいの市区町村の国民健康保険担当
- 任意継続の保険料の確認 … 協会けんぽ、または加入していた健康保険組合
控除証明書を捨ててしまった場合でも、再発行や納付額の証明を受けられることがあります。申告の直前は窓口が混み合います。書類の不足に気づいたら、早めに連絡してください。
先に確認しておきたい手続き
- 次回は、再就職した年の年末調整と前職の源泉徴収票の出し方を取り上げます
- 退職後の健康保険は任意継続か国民健康保険か、保険料の比較のしかた
- 国民年金の免除・納付猶予を受けた期間を、あとから追納する手順
- 退職したら税金はどうなる?|住民税と所得税で最初に見る3点
- 退職時の住民税は一括徴収?普通徴収?|退職月で決まる支払い方
- 住民税が払えないときは?退職後の減免・分割納付の相談期限
- 退職後の確定申告はしないとどうなる?損する人・しなくていい人
参考にした公式ページ
- No.1130 社会保険料控除|国税庁
- No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁
- No.1140 生命保険料控除|国税庁
- No.2030 還付申告|国税庁
- 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発行について|日本年金機構
※本記事は2026年9月時点の情報です。制度は改正されることがあります。最新の内容は必ず公式サイト(厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構)またはお住まいの市区町村でご確認ください。




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