任意継続と国保はどっちが安い?|保険料の計算と比較の手順

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退職後の健康保険を任意継続にするか、国民健康保険にするか。金額が分からないまま20日の期限が近づいてきて、焦っていませんか。この2つは保険料の計算のもとになる数字がまったく違うため、同じ年収でも人によって答えが逆になります。ここでは比較するために集める書類と、どの数字を見れば安い方が分かるのかを、順番に整理します。

退職後の健康保険の書類と給与明細を机の上で見比べている様子

どっちが安いかは何で決まる?

任意継続の保険料は退職したときの標準報酬月額で決まり、会社が半分払ってくれていた分がなくなるので、在職中の給与明細の約2倍になります。国民健康保険は前年の所得と世帯人数をもとに、市区町村が計算します。つまり、退職直前の給与が高かった方は初年度の国保が高く出やすく、扶養する家族がいない単身の方は国保が安くなりやすい、という形です。

任意継続には標準報酬月額の上限があり、協会けんぽは令和7年度・令和8年度とも32万円です。ここで頭打ちになるので、高収入だった方ほど任意継続が有利に働きます。まずは両方の金額を出すこと。そのための書類から見ていきます。

比較と申請に使う書類はこの6つ

比較も申請も、手元に数字が書かれた紙がないと進みません。任意継続の申請に使うもの、国保の試算に使うもの、保険料の軽減に使うものが混ざるので、一覧で押さえておいてください。

そもそも任意継続を選べない人もいる

任意継続に入れるのは、資格喪失日の前日までに健康保険の被保険者期間が継続して2か月以上ある方です。協会けんぽの場合、共済組合の加入期間やそれまでの任意継続の期間はこの2か月に含まれません。パートで健康保険に入っていなかった方は、この制度自体を使えません。

書類の正式名称発行元何に使うか
健康保険資格喪失証明書退職した会社国民健康保険の加入届出
任意継続被保険者資格取得申出書協会けんぽ(用紙は公式サイトか支部)任意継続の申請
直近の給与明細または源泉徴収票退職した会社標準報酬月額と前年所得の確認
離職票-1・離職票-2退職した会社失業保険の手続き
雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知ハローワーク国保の軽減の届出
マイナンバーカード(または通知カードと本人確認書類)市区町村本人確認
任意継続・国民健康保険の比較と手続きに必要な書類
任意継続と国民健康保険の保険料を比べる手順を示した図

会社から届く書類と自分で取る書類の違い

書類は、会社から送られてくるのを待つものと、自分が動かないと出てこないものに分かれます。ここを取り違えて「全部会社が送ってくれるはず」と待ってしまう方が多いです。

会社から届くのは、健康保険の資格喪失を証明する書類と離職票-1・離職票-2、源泉徴収票。退職後10日前後で発送されるのが一般的ですが、離職票はハローワークの処理を経るため、2週間ほどかかることもあります。

一方、任意継続被保険者資格取得申出書は自分で用紙を取り、自分で書いて出します。国保の試算も、こちらから市区町村の窓口に頼まないと出てきません。

書類が届かない・なくしたときはどうする?

期限が決まっているので、待ち続けるのが一番まずい対応になります。ケースごとに動き方を分けてください。

健康保険資格喪失証明書が届かない

まず勤務先に発送状況を聞いてください。それでも出てこないときは、年金事務所で健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得・喪失等確認通知書を出してもらえます。国保の加入手続きは、この通知書でも受け付けてもらえる市区町村が多いです。

離職票が届かない

退職から2週間を過ぎても届かないときは、ハローワークに相談します。会社が手続きをしていない場合、ハローワークから会社に確認してもらえます。雇用保険受給資格者証や雇用保険受給資格通知は、失業保険の手続きをした後にハローワークで受け取るものです。

雇用保険被保険者証や保険証をなくした

雇用保険被保険者証は、ハローワークで再発行できます。基礎年金番号やマイナンバーで照会してもらえるので、番号が分からなくても窓口で相談してください。保険証は退職日の翌日以降は使えません。手元に残っている場合は会社か協会けんぽへ返します。

書類がそろってからの比較と申請の流れ

書類がそろったら、この順番で進めます。逆にすると期限に間に合いません。

  1. 給与明細か会社への確認で、退職時の標準報酬月額を調べる
  2. 32万円を超えていれば32万円として計算する
  3. 協会けんぽの都道府県ごとの保険料額表に当てはめる(40歳から64歳は介護保険分も加算)
  4. 市区町村の国保窓口で、前年所得が分かる書類を持って試算してもらう
  5. 扶養家族を含めた年額で比べ、20日以内に任意継続を申請する

たとえば東京都、40代、退職時の標準報酬月額が32万円の方。令和8年度の東京都の率は都道府県単位保険料率9.85パーセント、介護保険料率1.62パーセント、子ども・子育て支援金率0.23パーセントで、合わせて11.70パーセントです。任意継続は全額自己負担なので、32万円の11.70パーセントで月37,440円、年間で約44万9千円。この金額と国保の試算額を並べて比べます。

申請の期限は20日と14日

任意継続の申請は、資格喪失日から20日以内です。資格喪失日は退職日の翌日なので、月末退職なら翌月1日が起算日になります。20日目が休業日のときは翌営業日まで。この期限を1日でも過ぎると、原則として任意継続は選べなくなります。

国民健康保険の届出は、退職日の翌日から14日以内が原則です。遅れても加入自体はできますが、保険料は退職日の翌日までさかのぼって計算されます。

倒産や解雇で離職した方の軽減の届出は、雇用保険受給資格者証か雇用保険受給資格通知を受け取ってからです。軽減の対象は離職日の翌日が属する月から翌年度末までで、この期間内であれば後から届け出ても対象になります。

手続き期限窓口
任意継続被保険者資格取得申出書の提出資格喪失日から20日以内協会けんぽの都道府県支部
国民健康保険の加入届出退職日の翌日から14日以内市区町村の国保担当窓口
非自発的失業者の保険料軽減の届出離職日の翌日の属する月から翌年度末まで市区町村の国保担当窓口
手続きごとの期限と窓口
任意継続と国民健康保険の保険料の決まり方の違いを比較した表

記入でつまずきやすい欄と見落としやすい軽減

任意継続被保険者資格取得申出書でつまずくのは、資格喪失年月日の欄です。ここは退職日ではなく退職日の翌日を書きます。もうひとつは被扶養者欄。任意継続では家族を扶養に入れても保険料は増えませんが、届出をしないと家族の保険証が出ません。収入を証明する書類も一緒に必要です。

保険料の納付方法も選びます。毎月払いのほか、半年分・1年分をまとめて払う前納があり、前納には割引があります。国保の届出書で迷うのは世帯主の欄。世帯主が自分でない場合でも、納付の通知は世帯主に届きます。

ここで見落としやすいのが、会社都合で辞めた方の軽減です。倒産や解雇、雇止めで離職した場合、国民健康保険料は前年の給与所得を30パーセントとみなして計算されます。対象は雇用保険受給資格者証などの離職理由コードが11・12・21・22・31・32・23・33・34のいずれかの方で、高年齢受給資格者と特例受給資格者は対象外です。この軽減が使えると、国保が任意継続より大きく下がることがあります。自己都合で辞めた方は使えません。

この後に必要になる手続き

  • 次回は任意継続の申請書の書き方と保険料の納付方法(前納の割引)を、記入例つきで解説します
  • 国民健康保険の加入届出の持ち物と、世帯主が別にいる場合の書き方
  • 扶養に入る選択肢は?家族の健康保険の被扶養者になれる収入の条件
  • 退職したら健康保険はどうなる?3つの選択肢と20日の期限

参考にした公式ページ


※本記事は2026年9月時点の情報です。制度は改正されることがあります。最新の内容は必ず公式サイト(厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構)またはお住まいの市区町村でご確認ください。

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