免除や納付猶予の手続きを済ませて、ひとまず保険料の支払いは止まった。その状態が続くと気になってくるのが、将来の年金額です。免除のままだと、納めた人より受け取る額は少なくなります。ただ、あとから納め直せる仕組みがあります。この記事では、追納が使える期間と手順、そして付加年金や任意加入とどれを先にやるべきかを整理します。

結論:追納は10年以内。迷ったら追納→付加年金→任意加入の順
免除・納付猶予・学生納付特例を受けた期間は、承認された月の前10年以内なら、あとから保険料を納められます。これが追納です。窓口は年金事務所で、市区町村では受け付けていません。
順番に迷ったら、まず追納です。追納だけが10年という期限で消えていくからです。そのうえで余裕があれば、月400円の付加保険料を足す。60歳になっても納付月数が480月に届かないなら、そこで任意加入を考えます。
効果の目安も先に出しておきます。日本年金機構によると、1年分追納すると、全額免除の期間なら老後の年金が年間で約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間なら年間で約2万円増えます。保険料は令和8年度で月17,920円、1年分なら215,040円です。
追納でつまずくのはこの3つ
多くの方がつまずくのは、次の場面です。
- 10年を過ぎた分は、もう納められない。古い月から順に期限切れになっていきます。
- 3年度目から金額が上がる。免除などの承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。
- 納付書が届くまで払えない。思い立って年金事務所に行っても、その場で納めて終わりにはなりません。申込書を出し、承認後に届く納付書で納めます。
年末に「今年中に払って控除に使おう」と動く方が多いのですが、ここで間に合わなくなります。申込書は早めに出してください。

正しい手順と必要書類はどれ?
手続きは年金事務所です。提出するのは「国民年金保険料 追納申込書」。日本年金機構のホームページからダウンロードでき、ねんきんネットの画面上で作ることもできます。窓口ではマイナンバーカードを提示します。持っていない場合は、マイナンバーが確認できる書類と、運転免許証などの本人確認書類の2点が必要です。
納める順番にも決まりがあります。原則として古い期間の保険料からです。免除の期間と、納付猶予・学生納付特例の期間が両方ある方は、どちらを先にするかで増える年金額が変わります。年金事務所に相談してから決めてください。
| 手順 | やること | 持ち物・書類 |
|---|---|---|
| 1 | 追納できる期間と金額を確認する | ねんきんネット、ねんきん定期便 |
| 2 | 「国民年金保険料 追納申込書」を年金事務所へ提出 | マイナンバーカード(または番号確認書類+本人確認書類) |
| 3 | 承認後、日本年金機構から納付書が届くのを待つ | ― |
| 4 | 納付書で保険料を納める | 納付書 |
| 5 | 納めた年の年末調整または確定申告で申告する | 領収証書・控除証明書 |
こんなときはどうする?ケース別の対処
状況によって、動き方が変わります。よくある3つを挙げます。
10年の期限が近い期間があるとき
10年の期限は月ごとに来ます。一番古い月から順に消えるので、全部まとめてではなく、消えそうな分から納めるという考え方で構いません。申込書を期限の直前に出すと、納付書が届く前に期限が来てしまうことがあります。余裕をもって提出してください。
まとまったお金が用意できないとき
追納は一度に全額でなくても構いません。納められる月数だけを申し込み、翌年また申し込むこともできます。年をまたいで分ければ、社会保険料控除も各年に分かれます。収入が戻った年に多めに納める、という組み立て方もできます。
税金の控除に使いたいとき
追納した保険料は社会保険料控除の対象です。再就職した方は年末調整で、そうでない方は確定申告で申告します。控除に使えるのは実際に納めた年の分だけです。納付書の控えや領収証書は必ず保管してください。詳しい取り扱いは国税庁が案内しています。
追納できる人・できない人
対象になるのは、免除(全額・一部)、納付猶予、学生納付特例の承認を受けた期間がある方です。前回の記事で触れた退職(失業)特例で免除を受けた期間も、同じように追納できます。
一方、次の場合は追納できません。
- 申請をしないまま払わなかった未納期間。追納の対象外で、納められるのは原則2年以内です。
- 老齢基礎年金を受け取る権利がすでにある方。受給権が発生した後は追納できません。
- 一部免除で、残りの保険料を納めなかった期間。その期間は未納の扱いになります。
期限に間に合わなかったら?任意加入と付加年金
期限は、追納が承認された月の前10年以内。これを過ぎた期間を埋める方法は、追納にはありません。受け皿になるのが60歳以上65歳未満の任意加入です。納付月数が480月に届かない方が、不足分を埋められます。手続きは市区町村または年金事務所で、申し出た月からの加入。さかのぼって加入はできません。
付加年金は月額400円を上乗せする制度で、受け取る年金に「200円×納付した月数」が毎年加算されます。1年納めると4,800円、受け取りは年2,400円ずつです。第1号被保険者と任意加入被保険者が対象で、免除を受けている期間は付加保険料を納められません。
| 制度 | 対象になる人 | 期限・時期 |
|---|---|---|
| 追納 | 免除・納付猶予・学生納付特例の期間がある人 | 承認された月の前10年以内 |
| 付加年金 | 第1号被保険者・任意加入被保険者 | 申し込んだ月から。免除中は不可 |
| 任意加入 | 60歳以上65歳未満で納付月数が480月に満たない人 | 申し出た月から。さかのぼり不可 |

どこに聞けばいい?問い合わせ先
追納の申込みと、追納できる期間・金額の確認は年金事務所です。電話ならねんきんダイヤルでも相談できます。国民年金の加入や任意加入の届出は、お住まいの市区町村の国民年金担当窓口でも受け付けています。
自分の免除期間がいつからいつまでか分からないときは、ねんきんネットか、毎年届くねんきん定期便で確認できます。窓口では基礎年金番号を必ず聞かれます。年金手帳か基礎年金番号通知書を持っていってください。
先に確認しておきたい手続き
- 次回は退職後の年金手続きの総まとめ。ねんきんネットで記録を確認し、もれを見つける方法を紹介します。
- 免除・納付猶予の申請条件と書類は「年金の免除・納付猶予|退職特例は使える?」で確認できます。
- 配偶者の扶養に入る条件は「扶養に入る年金の条件|第3号被保険者と失業保険の落とし穴」へ。
- 退職したら年金はどうなる?3つのパターンと14日以内の手続き
- 国民年金への切り替え手続き|14日以内に市役所で出す書類
- 年金の免除・納付猶予|退職特例は使える?失業した人の条件と書類
- 扶養に入る年金の条件|第3号被保険者と失業保険の落とし穴
参考にした公式ページ
- 国民年金保険料の追納制度|日本年金機構
- 国民年金保険料|日本年金機構
- 付加年金|日本年金機構
- 国民年金の保険料はいくらですか。|日本年金機構
- 令和8年度における国民年金保険料の前納額について|日本年金機構
※本記事は2026年9月時点の情報です。制度は改正されることがあります。最新の内容は必ず公式サイト(厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構)またはお住まいの市区町村でご確認ください。




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