退職した翌日から、年金が自動で国民年金に切り替わるわけではありません。会社は厚生年金の資格喪失を届け出てくれますが、第1号被保険者になる届出は自分で出します。第1編では退職後の年金の3つのパターンを整理しました。この記事では、市区町村の年金窓口で実際に何を出すのか、何を聞かれるのかを順番に見ていきます。

結論|退職日の翌日から14日以内、市区町村の年金窓口へ
届出先は、住んでいる市区町村の役所にある国民年金の窓口です。年金事務所ではありません。期限は退職日の翌日から14日以内。日本年金機構は、就職や退職で被保険者の種別が変わったときは14日以内に手続きが必要だと案内しています。
持っていくのは、退職日がわかる書類(離職票や資格喪失証明書)、基礎年金番号がわかるもの(年金手帳または基礎年金番号通知書)、本人確認書類の3点です。14日を過ぎても届出そのものは受け付けてもらえます。ただし保険料は退職した月の翌月分までさかのぼって請求されます。
届出が必要なのはどんな人?不要な人は?
対象になるのは、20歳以上60歳未満で、退職後に会社員でも扶養家族でもなくなる方です。厚生年金をやめた時点で、あなたは第1号被保険者に変わります。ここで届出をしないと、記録上は加入の手続きが済んでいない状態が続きます。
この3つに当てはまる方は届出不要です
ひとつ目は、退職の翌日に次の会社へ入社する方。新しい勤務先が厚生年金の手続きをします。ふたつ目は、配偶者の健康保険の扶養に入り、第3号被保険者になる方。この届出は配偶者の勤務先を通して行います。3つ目は、すでに60歳に達している方です。国民年金の強制加入は60歳までなので、種別変更の届出は出しません。

市役所に何を持っていく?必要書類の一覧
窓口では書類がそろっていないと受け付けが止まります。出かける前に確認してください。届書は窓口に置いてある「国民年金被保険者関係届書(申出書)」です。その場で書けます。
離職票がまだ届いていないときは?
退職日の証明は、離職票がなくても構わない場合があります。多くの市区町村では、健康保険の資格喪失証明書や退職証明書でも受け付けています。日本年金機構も、資格喪失日を証明できるものとして離職票などを挙げています。どれも手元にない場合は、先に窓口へ電話で聞いてください。
| 持ち物 | 具体的なもの | 補足 |
|---|---|---|
| 退職日がわかる書類 | 雇用保険被保険者離職票-1・-2、健康保険資格喪失証明書、退職証明書 | いずれか1つ |
| 基礎年金番号がわかるもの | 年金手帳、基礎年金番号通知書、マイナンバーカード | 番号の確認に使います |
| 本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど | 窓口に来る方の分 |
| 配偶者の分の書類 | 配偶者の基礎年金番号がわかるもの | 扶養していた配偶者がいる場合 |
| 届書 | 国民年金被保険者関係届書(申出書) | 窓口にあります |
窓口での手続きの流れと、必ず聞かれること
扶養している配偶者がいる方は、配偶者の分も同時に手続きします。配偶者が第3号被保険者だった場合、あなたの退職で第1号に変わるからです。窓口では「配偶者の方はどうされますか」と必ず聞かれます。
本人が行けないときの届出
届出は本人だけでなく世帯主も出せます。同居のご家族に頼む場合、本人確認書類は来庁する方の分が必要です。別世帯の方が代理で行くときは委任状を求められることがあります。郵送で受け付けている市区町村もあるので、遠方にお住まいの方は事前に問い合わせてください。
14日はいつから数える?遅れたらどうなる?
数え方は、退職日の翌日が1日目です。3月31日退職なら4月1日から数えて4月14日まで。土日で窓口が閉まっている場合は、その前の開庁日までに行くことになります。
期限を過ぎても手続きはできます
ただし加入日は退職日の翌日にさかのぼるので、その間の保険料は消えません。届出が数か月遅れれば、その月数分の納付書がまとめて届きます。ここでつまずく方が多いところです。手続きをしないまま放置すると未納期間になり、将来の老齢基礎年金が減るほか、障害基礎年金や遺族基礎年金の受け取りにも影響します。厚生労働省もこの点を注意喚起しています。
保険料はいくら?いつから払う?
国民年金保険料は全国一律の定額です。日本年金機構によると、令和8年度(令和8年4月から令和9年3月まで)は月額17,920円です。納付期限は、納付対象月の翌月末日です。届出をすると、およそ1か月後に日本年金機構から納付書が届きます。
前納と付加保険料
まとめて前払いすると割引になる前納制度があります。また、月額400円の付加保険料を上乗せすると、将来の老齢基礎年金を増やせます。付加保険料は申し出た月からで、さかのぼって納めることはできません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 保険料(令和8年度) | 月額17,920円(全国一律) |
| 納付期限 | 納付対象月の翌月末日 |
| 納付書が届く時期 | 届出からおよそ1か月後 |
| 付加保険料 | 月額400円を上乗せ(申出月から・さかのぼり不可) |
保険料が払えないときは?失業による免除の特例
収入が途切れたのに定額の保険料はきつい、と感じる方は多いはずです。国民年金には保険料免除・納付猶予制度があり、退職(失業)した方には特例があります。前年の所得ではなく、失業した事実で審査してもらえる仕組みです。
申請に必要なものと期間
雇用保険被保険者離職票または雇用保険受給資格者証などの写しが必要です。種別変更の届出と同じ窓口で一緒に申請できます。さかのぼって申請できるのは、保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1か月前まで)です。未納のまま放置した場合と違い、全額免除の期間は老齢基礎年金の計算に一部反映されます。

よくある間違いと、窓口に行かずに済ませる方法
国民健康保険の手続きと同じ窓口とはかぎりません。自治体によって課が分かれており、年金だけ済ませて帰ってしまう方がいます。健康保険をどうするかは別の判断が必要です。
マイナポータルからの電子申請
マイナンバーカードをお持ちなら、マイナポータルから電子申請もできます。日本年金機構は、資格取得(種別変更)の届出を電子申請の対象にしています。離職票などの画像を添付する形です。窓口に行く時間が取れない方は検討してください。ただし添付書類に不備があると差し戻されます。
あわせて確認したい手続き
- 第3編では、配偶者の扶養(第3号被保険者)に入る場合の手続きと収入の条件を解説します。
- 退職後の健康保険はどれ?3つの選択肢を比較 ― 年金と同じ日に済ませたい手続きです。
- 退職時にもらう書類5つ ― 離職票や資格喪失証明書がいつ届くかを確認できます。
- 退職したら年金はどうなる?3つのパターンと14日以内の手続き
参考にした公式ページ
- 日本年金機構 国民年金に加入するための手続き
- 日本年金機構 国民年金保険料
- 日本年金機構 国民年金の保険料はいくらですか。
- 日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
- 日本年金機構 個人の方の電子申請(国民年金)
- 厚生労働省 国民年金の加入・切り替え手続きを行った方へのご案内
※本記事は2026年9月時点の情報です。制度は改正されることがあります。最新の内容は必ず公式サイト(厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構)またはお住まいの市区町村でご確認ください。




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