扶養に入る年金の条件|第3号被保険者と失業保険の落とし穴

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「退職して収入がなくなるから、夫(妻)の扶養に入ればいい」。そう考えていたのに、ハローワークで失業保険の日額を見て止まってしまう方が少なくありません。扶養に入れる人と入れない人は、金額でくっきり分かれます。この記事では、第3号被保険者の条件、失業保険との関係、勤務先を通した手続きの流れ、そして受給が終わったあとに扶養へ戻るタイミングまでを順番に整理します。

退職後に配偶者の扶養に入る年金の条件を書類で確認している様子

扶養に入れるかどうかは「年収130万円未満」と「失業保険の日額」で決まります

結論から書きます。配偶者が会社員や公務員(厚生年金の第2号被保険者)で、あなたが20歳以上60歳未満なら、今後1年間の収入見込みが130万円未満であることが第3号被保険者になる基本条件です。日本年金機構は、給与なら月額108,333円以下、雇用保険を受け取る人なら基本手当の日額が3,611円以下という目安を示しています。

ここが最大の落とし穴です。失業保険の日額が3,612円以上になると、もらい終わるまでは扶養に入れません。その間は国民年金の第1号被保険者として自分で保険料を納めることになります。

退職後の年金、選べる道は3つあります

退職した翌日から、年金の加入先は必ずどれかに決まります。空白にはできません。選択肢は次の3つです。

  1. 配偶者の扶養に入る(国民年金第3号被保険者)…保険料の自己負担はありません
  2. 国民年金に切り替える(第1号被保険者)…市区町村で手続きし、自分で保険料を納めます
  3. 再就職して厚生年金に入る(第2号被保険者)…新しい勤務先が手続きします

このうち1と3は、条件を満たした人しか選べません。条件から外れた人は自動的に2になります。第3号被保険者は「配偶者が厚生年金または共済に加入していること」が大前提です。配偶者が自営業で国民年金の第1号被保険者なら、この制度は使えません。夫婦そろって第1号として納めることになります。

第3号被保険者の届出を配偶者の勤務先経由で行う手続きの流れ図

保険料・手続き先はどう違う?3つを比べてみます

いちばん気になるのは負担額ですよね。第3号被保険者は本人負担ゼロですが、これは配偶者が加入する厚生年金制度全体で負担しているためで、配偶者の給与から追加で天引きされるわけでもありません。

一方、第1号被保険者になると定額の国民年金保険料がかかります。退職を理由にした免除・納付猶予の特例もあるので、こちらは3編目の記事で扱った内容を確認してください。

項目第3号被保険者(扶養)第1号被保険者(国民年金)第2号被保険者(再就職)
本人の保険料負担なし定額の国民年金保険料給与から天引き(労使折半)
おもな条件配偶者が第2号・年収130万円未満・20歳以上60歳未満上記に当てはまらない人すべて新しい勤務先で加入要件を満たす
手続き先配偶者の勤務先を経由して日本年金機構住んでいる市区町村の窓口新しい勤務先
手続きする人配偶者(会社が提出)自分勤務先
失業保険との関係日額3,612円以上だと受給中は不可制限なし制限なし
退職後の年金3パターン比較

どれを選ぶことになる?タイプ別に整理します

自分で自由に選ぶというより、条件で決まる部分が大きい制度です。当てはまるところを探してみてください。

第3号被保険者になれる人

配偶者が厚生年金または共済組合に加入していて、自分は20歳以上60歳未満。そして今後1年間の収入見込みが130万円未満の方です。60歳以上の方や障害厚生年金を受けられる程度の障害がある方は180万円未満が基準になります。失業保険を受け取らない、または日額が3,611円以下におさまるなら、この道が最も負担が軽くなります。

同居している場合は「配偶者の年収の2分の1未満であること」も条件です。配偶者の収入が少ないと、130万円未満でも認定されないことがあります。

第1号被保険者になる人

失業保険の日額が3,612円以上の方、配偶者が自営業の方、すでに60歳になっている方(第3号は60歳未満が対象)などです。市区町村の窓口で切り替えます。収入が途絶えている時期なので、免除や納付猶予の相談も同時にしておくと負担を抑えられます。

扶養に入らず働く道を選ぶ人

短期間で再就職する見込みがあるなら、扶養手続きをせずに転職先で厚生年金に入る流れになります。ただし退職日から入社日までに空白があれば、その期間だけは第1号か第3号のどちらかを選ぶ必要があります。1日でも空白は作れません。

扶養に入る手続きの流れと必要書類は?

ここで多くの方がつまずきます。第3号被保険者の届出は、自分で市区町村や年金事務所に行っても受け付けてもらえません。配偶者の勤務先を経由して日本年金機構に提出するルールだからです。

  1. 配偶者から勤務先の担当部署に「配偶者を扶養に入れたい」と申し出てもらう
  2. 勤務先から健康保険 被扶養者(異動)届と国民年金第3号被保険者関係届を受け取る
  3. 必要書類をそろえて記入し、配偶者が勤務先に提出する
  4. 勤務先が日本年金機構(または健康保険組合)へ提出する
  5. 認定されると健康保険証にあたる資格情報と、第3号被保険者の記録が登録される

添付するのは、続柄を確認する書類(戸籍謄本または続柄記載の住民票)と、収入要件を確認する書類です。退職直後なら雇用保険被保険者離職票-2の写しや退職証明書、失業保険を申請済みなら雇用保険受給資格者証の写しを求められるのが一般的です。マイナンバーを記入すると続柄確認書類を省ける場合もあるので、勤務先に確認してください。

いつまでに出せばいい?期限の考え方

扶養に入る事実が発生した日は、原則として退職日の翌日です。その日から届出までの期間が空くほど、記録の処理が面倒になります。会社から日本年金機構への提出には期限が定められているため、退職が決まった時点で配偶者から勤務先に伝えておくのがいちばん確実です。

放置すると何が起きるか。政府広報オンラインと日本年金機構は、本来の届出期限から2年以上経つと配偶者の加入する年金制度から保険料が納付できなくなり、未納期間が生じると説明しています。未納期間は将来の年金額を減らします。「あとでまとめて」は通用しないところです。

なお、失業保険の待期期間や給付制限期間の扱いは、配偶者が加入する健康保険によって違います。協会けんぽでは実際に受給していない期間は収入なしとして扱われますが、健康保険組合によっては待期中・給付制限中も認定しない取り扱いがあります。ここは必ず配偶者の勤務先に確認してください。

失業保険の日額3611円で扶養に入れるかどうかが分かれることを示した比較図

失業保険が終わったら扶養に戻れる?切り替えのタイミング

戻れます。所定給付日数をもらい終えて収入の見込みが130万円未満になれば、あらためて第3号被保険者の届出をします。手続きは最初と同じで、配偶者の勤務先経由です。

戻るときに必要になるのが雇用保険受給資格者証です。支給終了日が記載された面の写しを求められます。ハローワークで最後の認定を受けたら、なくさずに保管しておいてください。

逆に、扶養に入っている途中で扶養から外れる場合もあります。パートを始めて収入見込みが130万円以上になったとき、再就職して自分が厚生年金に入ったとき、配偶者が退職して第2号被保険者でなくなったときです。外れる側の届出も必要で、これを忘れると本来は第1号だった期間が第3号のまま記録され、あとから訂正を求められます。入るときだけでなく、出るときも届け出る。ここだけは押さえておいてください。

あわせて読みたい手続き

参考にした公式ページ


※本記事は2026年9月時点の情報です。制度は改正されることがあります。最新の内容は必ず公式サイト(厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構)またはお住まいの市区町村でご確認ください。

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