病気で退職して、これからは傷病手当金を自分で申請することになった。在職中は総務が進めてくれた手続きを一人でやるとなると、不安になりますよね。
この記事では、退職後の申請書をどこへ出すのか、医師と会社の証明はどの期間分が必要か、毎月どう出していくかを順番に説明します。受け取れる条件は前回の記事で整理したので、ここでは「出し方」に絞ります。

退職後の傷病手当金は誰が、どこへ出す?
申請書は退職前に加入していた健康保険へ、本人が直接出します。協会けんぽなら加入していた都道府県支部、健康保険組合ならその組合です。退職後に任意継続や国民健康保険に切り替えても、提出先は変わりません。市区町村の国保窓口には出しません。
- 医師の証明…申請のたびに毎回必要
- 会社の証明…退職日を含む期間の申請分だけ必要
申請は1〜2か月ごとにまとめて出すのが一般的です。時効は働けなかった日ごとに、その翌日から2年。支給は支給開始日から通算1年6か月までです。
退職後の傷病手当金の申請に必要な書類は?
協会けんぽの「健康保険 傷病手当金支給申請書」は4ページで1組です。ページごとに書く人が違います。健康保険組合に入っていた方は、様式が組合ごとに違うため、組合のホームページか窓口で確認してください。
退職後は会社を通さず、本人が書類を集めて自分で送ります。様式は改定されることがあります。毎回、最新版をダウンロードして使うのが安全です。
| 書類の正式名称 | 書く人・発行元 | 入手方法・必要な場面 |
|---|---|---|
| 健康保険 傷病手当金支給申請書(被保険者記入用・1〜2ページ目) | 本人 | 協会けんぽのホームページから入手。毎回必要 |
| 同 事業主記入用(3ページ目) | 退職した会社 | 退職日を含む期間の申請分だけ必要 |
| 同 療養担当者記入用(4ページ目) | 主治医 | 受診時に依頼。毎回必要 |
| 年金証書等のコピー、年金額改定通知書等のコピー | 日本年金機構 | 老齢退職年金を受けていて、マイナンバーでの情報照会を希望しない人だけ |

会社に頼む書類と自分で用意する書類はどう違う?
ここ、迷いますよね。分かれ目は「退職日」です。
会社に頼むのは、事業主記入用(3ページ目)だけです。会社が休んだ日の勤務状況や、給与を払ったかどうかを証明する欄です。退職日を含む期間の申請分は、会社に証明してもらう必要があります。退職日の翌日以降の期間だけを申請するときは、3ページ目は空欄で出します。
それ以外は自分で用意します。1〜2ページ目は自分で書き、4ページ目は主治医に頼みます。医師の証明は退職後も毎回必要です。
退職日を含む月の分は、退職前に総務へ「3ページ目の記入をお願いします」と伝えておくと、後の連絡が楽になります。
傷病手当金の書類が届かない・なくしたときはどうする?
退職後は会社が間に入らないので、書類のトラブルも自分で解決することになります。多くの方がつまずくケースを3つ挙げます。
会社が事業主記入用を書いてくれない・返ってこない
退職日を含む期間の分は、会社に証明してもらう必要があります。まずは送り先と期限をはっきり伝えて催促してください。それでも進まない場合は、加入していた協会けんぽの支部か健康保険組合に相談します。
申請書をなくした・書き損じた
申請書はダウンロードし直せば大丈夫です。書き損じた紙に修正液を使うより、新しい用紙に書き直してください。医師が書いた4ページ目をなくした場合は、医療機関に再発行を頼むことになります。
保険証を返してしまい、記号・番号がわからない
申請書には在職時の記号・番号を書きます。手元に控えがない場合は、会社からもらった健康保険資格喪失証明書を確認するか、加入していた支部・組合に問い合わせてください。
書類がそろったら申請はどう進む?毎月の流れ
書類がそろったら、次の順番で進めます。
- 申請したい期間(例えば1か月分)が終わるのを待つ
- 主治医に4ページ目を書いてもらう
- 退職日を含む期間なら、会社に3ページ目を頼む
- 1〜2ページ目を書き、申請期間を4ページ目とそろえる
- 加入していた協会けんぽ支部(健康保険組合)へ郵送する
- 審査のあと、指定した口座に振り込まれる
- 次の期間分を同じ手順で申請する
まだ来ていない先の期間は申請できません。医師は過ぎた期間についてしか証明できないからです。
1〜2か月ごとに出すのは、まとめすぎると生活費の入金が遅れ、書類集めも大変になるためです。
傷病手当金の申請期限はいつまで?時効2年と通算1年6か月
期限は2種類あります。混同しやすいので分けて覚えてください。
例えば2026年5月10日に働けなかった分は、翌日の5月11日から数えて2年で時効になります。2年あるから後でまとめて、と考えるのは危険です。古い日の分から先に消えていきます。
もう一つ大事な例外があります。退職後に一度でも働ける状態になって支給が止まると、その後また悪くなっても退職後の傷病手当金は再開されません。この場合は対象になりません。
| 期限 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 時効 | 働けなかった日ごとに、その翌日から2年 | 古い日の分から順に消えていく |
| 支給期間 | 支給開始日から通算1年6か月 | 退職前に受けた日数も通算される |
| 時効で消えた日 | その日は受け取れない | 支給期間の1年6か月は減らない |

申請書の書き方でつまずきやすい欄はどこ?
提出後の問い合わせで、よく確認を求められる欄です。
- 記号・番号…在職時のものを書く。任意継続や国保の番号を書く間違いが多い
- 申請期間…4ページ目の「労務不能と認めた期間」と1日もずれないようにする
- 仕事の内容…退職後の申請でも、在職時の仕事の内容を書く
- 年金の受給欄…老齢退職年金や障害年金を受けている場合は正しく記入する。退職後の期間は、年金の額によって傷病手当金が減ったり出なかったりする
- 振込先…本人名義の口座にする
4ページ目の傷病名と、2ページ目の傷病名が同じかどうかも確認してください。
なお、傷病手当金を受けている間は「すぐに働ける状態」ではないため、失業保険(雇用保険の基本手当)は同時に受けられません。
この後に必要になる手続き
- 次の記事:傷病手当金が終わったら失業保険へ|受給期間の延長申請と切り替えの順番
- 退職したら健康保険はどうなる?3つの選択肢と20日の期限
- 任意継続の手続き|20日以内にどこへ何を出す?申出書と扶養の書類
- 傷病手当金は退職後ももらえる?条件2つと退職日に出勤してはいけない理由
参考にした公式ページ
- 傷病手当金|給付と手続き|協会けんぽ
- 健康保険傷病手当金支給申請書|協会けんぽ
- 令和4年度 健康保険委員研修会 傷病手当金について|協会けんぽ京都支部
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)の各都道府県支部で取扱う手続等|日本年金機構
※本記事は2026年10月時点の情報です。制度は改正されることがあります。最新の内容は必ず公式サイト(厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構)またはお住まいの市区町村でご確認ください。



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