退職金の税金はいくら?退職所得控除の計算方法と勤続年数別早見表

title 仕事をやめたら
title

退職金の振込額を見て「思ったより引かれていない」「逆に多く引かれた?」と気になっていませんか。退職金の税金は、給与とはまったく別の計算です。この記事では、国税庁の計算式にそって、勤続年数から税金がかかるかどうかを自分で確かめる方法を説明します。計算に使う書類と、金額が変わりやすい落とし穴もあわせて取り上げます。

退職金の税金はいくら?控除を引いて2分の1にした額にだけかかります

勤続年数に応じた退職所得控除(たいしょくしょとくこうじょ)を退職金から引き、残りを2分の1にした額にだけ税金がかかります。控除は勤続20年以下なら「40万円×勤続年数」、20年を超えると「800万円+70万円×(勤続年数−20年)」です。

たとえば勤続38年なら控除は2,060万円です。退職金が2,000万円なら税金はかかりません。多くの会社員は控除の範囲内か、税額がごくわずかで済みます。ただし勤続5年以下や役員の方は計算が変わるので、後半を必ず読んでください。

退職金の税金計算に必要な書類は?正式名称と入手先

計算に使う数字は「退職金の額」と「勤続年数」の2つだけです。それを確かめる書類を手元にそろえましょう。

対象になるのは、会社の退職手当のほか、確定拠出年金(企業型・個人型)の老齢給付金を一時金で受け取る場合などです。解雇予告手当も退職所得に入ると国税庁は案内しています。一方、退職後に年金形式で分けて受け取るお金は退職所得ではないので、この計算の対象になりません。

書類の正式名称発行元入手方法
退職所得の受給に関する申告書会社(様式は国税庁)会社から渡され、記入して会社へ出す
退職所得の源泉徴収票・特別徴収票会社退職金の支払い後に会社から交付
退職金の支給明細(退職金規程)会社人事・総務に依頼
入社日・退職日がわかる書類(雇用契約書など)会社・自分手元の控えを確認
前年以前の退職所得の源泉徴収票以前の勤務先過去に退職金を受けた人のみ
退職金の税金計算で使う書類

会社からもらう書類と自分で確かめる数字の違い

源泉徴収票は会社が計算した結果です。一方、勤続年数が正しいかは自分で確かめるしかありません。ここ、見落としやすいところです。

勤続年数は、その会社で引き続き働いた期間です。1年に満たない端数は1年に切り上げます。勤続22年3か月なら23年です。たった3か月で控除が70万円増えます。

退職金1,000万円で比べてみます。勤続22年として計算すると控除は940万円で、残り60万円の2分の1、30万円に税金がかかります。23年なら控除は1,010万円で、税金はかかりません。源泉徴収票の「勤続年数」欄は、必ず自分の数え方と照らし合わせてください。

障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、控除に100万円が加わります。会社が把握していないこともあるので、自分から伝えてください。

源泉徴収票が届かない・勤続期間がわからないときは?

書類がないと計算の確認ができず、不安になりますよね。ケース別の対処です。

退職所得の源泉徴収票が届かない

退職金の支払い後、会社から交付される書類です。届かないときは会社の総務・経理に再発行を頼みます。応じてもらえない場合は、住所地を管轄する税務署に相談できます。

入社日がはっきりしない

雇用契約書や辞令がなければ、年金記録(日本年金機構の「ねんきん定期便」など)で厚生年金の加入期間を見ると目安になります。正式な勤続期間は会社に確認してください。

前の会社の退職所得の源泉徴収票をなくした

以前の勤務先に再発行を依頼します。過去の退職金と期間が重なると控除が調整されるため、この書類が必要になることがあります。

書類がそろったら税金を計算する流れ

  1. 勤続年数を出す(1年未満は切り上げ)
  2. 退職所得控除額を出す(80万円に満たないときは80万円)
  3. 退職金の額から控除額を引く
  4. 残りを2分の1にする(1,000円未満は切り捨て)
  5. 国税庁の「退職所得の源泉徴収税額の速算表」に当てはめて所得税を出す。住民税は市区町村の税として別にかかる

計算例です。勤続30年で退職金2,000万円の場合、控除は800万円+70万円×10年=1,500万円。2,000万円−1,500万円=500万円を2分の1にして、税金がかかるのは250万円分です。

もう一つ、勤続38年で退職金2,000万円の場合です。控除が2,060万円なので、引くと0円以下になり、所得税も住民税もかかりません。手取りは退職金の額そのままです。

勤続年数退職所得控除額
5年200万円
10年400万円
20年800万円
25年1,150万円
30年1,500万円
35年1,850万円
40年2,200万円
勤続年数別の退職所得控除額

提出期限はいつ?申告書と確定申告のタイミング

この計算が退職金の支払い時に正しく行われる条件は、「退職所得の受給に関する申告書」を退職金を受け取る時までに会社へ出していることです。出していないと20.42%で一律に引かれます。書き方は前の記事で説明しています。

申告書を出していれば、原則として退職金だけのために確定申告をする必要はありません。出し忘れて多く引かれた場合は、翌年の確定申告で精算します。還付申告ができる期間は国税庁の公式サイトで確認してください。

なお、会社が計算を間違えていると気づいたら、まず会社に確認を求めます。訂正された源泉徴収票を受け取ってから、確定申告が必要かを判断してください。

金額が変わる落とし穴は?勤続5年以下と役員の特例

多くの方がここで計算を間違えます。次の場合は「2分の1」がそのまま使えません。

  • 勤続5年以下の短期退職手当等:控除後の額のうち300万円を超える部分は2分の1になりません。
  • 役員等の勤続年数が5年以下の特定役員退職手当等:2分の1課税の対象になりません。控除を引いた額全体に税金がかかります。
  • 過去の退職金や確定拠出年金の一時金と期間が重なる:重なった年数分の控除が差し引かれます。重複期間の端数は切り捨てです。

短期退職手当等は、勤続年数5年以下の人が受け取る退職金のうち、役員の特例に当たらないものです。転職して間もない40代・50代の方は当てはまりやすいので、ここだけは押さえておいてください。

項目金額
退職所得控除額40万円×5年=200万円
控除後の額600万円
300万円以下の部分2分の1で150万円
300万円超の部分そのまま300万円
税金がかかる額450万円
勤続5年・退職金800万円の場合(国税庁の例)

この後に必要になる手続き

参考にした公式ページ


※本記事は2026年10月時点の情報です。制度は改正されることがあります。最新の内容は必ず公式サイト(厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構)またはお住まいの市区町村でご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました